どーも、まっすーです。
手術することになると色々準備が大変ですよね。
手術内容の説明、入院の支度、お金の準備、職場や家族への連絡…
そんな忙しい時にやってきます、麻酔科医との面談。
すぐ眠ってしまうのに顔合わせる必要ありますか?
手術を決心した時点で、麻酔は拒否できないですよね?
おっしゃる通りなのですが…
結構大事なんですよ、というお話をしていきたいと思います。
何をするの?
・患者さんの全身状態の把握
・麻酔方法についての説明
術前の麻酔科面談は、この2本柱と思ってもらってよいかと思います。
麻酔科医の仕事のイメージが沸かない、という方は
先にこちらを参照していただくとわかりやすいかもしれません。
患者さんの全身状態の把握
手術を受けることは、どうしても体にとって負担になります。
全身麻酔を受けるだけでも、体にとってはやはり負担になります。
若くて病気もない元気な人は、多少の負担ではびくともしないのですが
そうでない人は、手術や全身麻酔をきっかけにして
元々のご病気や体の弱点が浮き彫りになり問題になることがあります。
そのため、患者さんの状態を把握しておくことがとても重要です。
「麻酔科の仕事の9割は情報収集や事前計画」と言う麻酔科医もいます。
パイロットにとって、コースの情報収集や天気予報の確認など
事前の準備は不可欠です。ぜひご協力をお願いします。
(パイロットが寝耳に水、という方はこちらもご覧ください。上でも紹介した記事です)
麻酔方法についての説明
個人的には「しっかり守ってくれそうだなぁ」と思える話が聞ければ充分だと思っています。
麻酔の細かい説明や、トラブルなどについても当然話題にあがるのですが
「難しくてよくわからない…」となることも多いと思うので、
大まかに掴んでもらえれば、それでよいと思います。
(飛行機乗る前に、機長の仕事内容を細かく聞くのは現実的ではないですよね)
もちろん、何か心配なことがあれば聞いてみてください。
また、そういう時に当ブログが役に立てればと思ってますので参考にしてください。
準備しておくことはある?何聞かれるの?
大丈夫、そんなに身構えることはありません。
参考までに、内容の一例を挙げるので、参考にしてください。
病院によっては、問診票を渡され、記入してから面談になるところもあります。
・今までに受けた手術内容、麻酔方法 (全身麻酔/背中の麻酔…)
・麻酔に関わるトラブル、辛かったこと
・アレルギーについて (何が原因でどんな症状が出たか)
・普段治療している病気とその調子 (落ち着いているのか、最近薬を変更したりしているか…)
・普段どれくらい動けているか (※「さらに詳しく」参照)
・最近の体調 (風邪をひいていないかなど)
など
・口がどれくらい開くか、歯の状態
・首はどれくらい動くか、痛みやしびれはないか
・点滴をする際の血管の確認
・背中の麻酔をする場合の背中の確認
など
普段治療している病気のことや検査結果などは、カルテでももちろん情報収集するのですが
確認のために聞かせてもらうことがあるので、ご協力お願いします。
以上、麻酔科の術前面談について紹介しました。
色々書きましたが、
パイロットの「情報収集や運航計画」にあたると思って下さい。
重要性、すとんと落ちたら幸いです。
普段どれくらい動けているか (上記リストの※)、という項目は話すと長くなるので
さらに詳しく として別記します。参考にしていただければ幸いです。
ご質問・ご指摘あれば教えてください。
ではまた!
さらに詳しく : 普段どれくらい動けているか
これ、とても重要です。
麻酔科医にとって(そして恐らく全医師にとって)、患者さんの心肺機能はとても重要です。
かなり直接的に、人の「生き死に」に影響するからです。
心臓や肺の検査ももちろんすることが多いですが、
検査の数字以上に「普段どれくらい動けているか」がよい指標になることがあります。
心肺機能が落ちてくると、
スポーツができなくなり、
階段が使えなくなり、
歩くのが休み休みになり、
起き上がったり食事をしたりするのも大変になっていく訳です。
起き上がったり食事をするのも大変な状態の方は、
全身麻酔をかけられる余裕がほとんどなく、麻酔に耐えられない可能性があります。
あらゆる工夫でなんとか手術を乗り切れても、体への負担が回復しきらず
せっかく手術が成功したにも関わらず、結局命に関わることもあります。
麻酔科医は、「できるだけ元気に患者さんを帰す」のが仕事なので、
時に、「手術をしない方が長生きできるかもしれない」と思われる場合には
執刀医や患者さんに手術中止を提案することも、仕事の1つとなることがあります。
安全運航のため、普段どれくらい動けているか、ぜひ教えてください!
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