痛い手術、痛くない手術?

麻酔一般

どーも、骨を折ること3回、まっすーです。

麻酔科医は痛みを取る方法をいくつか持っているので、
手術前に麻酔科面談をしていると、

痛いですか?

と聞かれることがよくあります。

今日は一般的な手術内容による痛み方について、簡単にお話しできればと思います。

一般論
・痛みの感じ方は個人差が大きく難しい
・感じていることは事実なので我慢しない方がよい (我慢すると余計に痛く感じることがある)

というのを踏まえて参考にしていただければと思います。

痛いのはこんな時

傷が深い

骨や内臓に達する手術は痛みが強く出る傾向があります。
イメージ通りでしょうか。「傷が大きい」より「深い」が重要です。
さらに詳しく、も参考にしてください。

神経が集まっている場所

手や顔などは神経が集まっていて敏感なので、痛みが強く出る傾向があります。
多少気分が悪い画像かもしれませんが、興味があればこちらの図も参照してみてください。
(「ホムンクルス 小人」で検索するとさらに不気味な図が出てきます)

鎮痛が難しい

痛みが強い傾向があっても、必殺の鎮痛方法があれば当然それほど問題になりません。

様々な痛み止めの方法があり、組み合わせて使うことである程度対応できることが多いですが
手術する部位や、患者さんの体の問題なども関わってくるのでケースバイケースになります。
(手術ごとのイメージ も参考にしてください。)

以上、簡単ではありますが、手術の時の痛みの強さについて紹介してみました。
これだけだと、なかなかすとんと落ちない気がするので、
お時間ある方は、さらに詳しく もご覧ください。

では、また!

さらに詳しく①:手術ごとのイメージ

※一般的な点滴/飲み薬の痛み止めだけを使用した場合の一例、と考えてください。
 局所麻酔のしやすさは部位によって大きく異なります。

頭~首

顔面 > その他 (頭、首)

胸部

大血管手術 > 心臓手術 >その他
開胸 > 胸腔鏡

腹部

上腹部 (肝、膵、胃) >下腹部 (腸、泌尿器、婦人科) > その他
開腹 > 腹腔鏡

四肢

骨・靭帯 > 皮膚・脂肪組織

さらに詳しく②:ズキズキ、キリキリ、ビリビリ

痛みにはいくつか種類があることを知っているでしょうか?

分類方法はいくつかあるのですが、擬音語で分けると

ズキズキ」:体の表面のやや鋭い痛み、擦りむいたり切れたりした時のイメージ

キリキリ」:体の奥の方のやや鈍い痛み、一般的な腹痛などのイメージ

ビリビリ」:神経がダメージ受けた時の鋭い痛み、足が痺れた時のイメージ

がわかりやすいでしょうか。

ズキズキ」(体性痛と言います)は一般的な飲み薬でも対応しやすい傾向がありますが、

キリキリ」(内臓痛と言います)はやや対応が難しくなり

ビリビリ」(神経障害性疼痛と言います)は回復に時間がかかることがあります。

このうち、手術がきっかけで「ビリビリ」が新たに出現する手術はほとんどないので、

現実的には 体の表面で済むのか、内臓にも及ぶのか で痛み方が変わってくる
と思ってもらえるといいかもしれません。

痛みの種類によって、麻酔科医は様々な鎮痛方法の組み合わせを工夫しています。
今後とも、できるだけ安心して手術を受けてもらえるように、精進していきたいと思います。

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